更年期とは何か
女性の更年期は、閉経の前後5年間(合わせて約10年間)を指します。卵巣機能の低下に伴って女性ホルモン(エストロゲン)の分泌が減少し、ほてり、のぼせ、発汗、動悸、頭痛、関節痛、冷え、めまい、倦怠感、意欲低下、イライラ、不眠などの心身症状が現れます。日常生活に支障を来すほど症状が強い状態を「更年期障害」と呼びます。
男性にもLOH症候群(Late Onset Hypogonadism: 加齢男性性腺機能低下症候群)と呼ばれる状態があり、加齢に伴うテストステロンの減少により、女性の更年期と類似した症状が40代以降に現れます。男性の場合は発症時期に個人差が大きく、症状が長期化する傾向があります。
なぜ簡略更年期指数(SMI)を採用したか(女性版)
SMI(Simplified Menopausal Index)は、産婦人科医の小山嵩夫氏が1992年に考案した日本独自の自己評価尺度です。海外で開発された尺度ではなく、日本人女性の更年期症状の特徴(冷えや肩こりなど、欧米では重視されない症状を含む)を反映している点が大きな特徴です。
10項目の症状について「強・中・弱・無」の4段階で自己評価し、各症状の重み付けを反映したスコアの合計(0〜100点)で5段階に評価します。日本の婦人科で広く使われており、ホルモン補充療法(HRT)の効果判定にも活用されています。
なぜAMSスコアを採用したか(男性版)
AMS(Aging Males' Symptoms)スコアは、Heinemannらが1999年に開発した男性更年期障害を評価する国際標準の質問票です。日本では、日本泌尿器科学会・日本Men's Health医学会の「LOH症候群診療ガイドライン」において、診断補助ツールとして採用されています。
身体的症状(7項目)、精神・心理的症状(5項目)、性機能症状(5項目)の3領域、合計17項目を5段階で評価します。合計17〜85点のスコアで4段階に判定し、医療機関での診断・治療方針の参考に使われています。
スコアの読み方
女性版(SMI)の評価基準
- 0〜25点: 概ね良好なライン — 上手に更年期を過ごしています
- 26〜50点: セルフケアで対応できるライン — 食事・睡眠・運動などに気をつけて
- 51〜65点: 医師への相談を検討したいライン — 婦人科での診察、生活指導、薬物療法を
- 66〜80点: 計画的なケアが必要なライン — 半年以上の長期的な治療を
- 81〜100点: 精密検査をおすすめするライン — 長期的な対応が必要
男性版(AMS)の評価基準
- 17〜26点: 概ね良好なライン — 心配ない状態
- 27〜36点: 軽度の可能性ライン — 生活習慣の改善を
- 37〜49点: 中等度の可能性ライン — 専門医への受診を検討
- 50点以上: 重度の可能性ライン — 専門医への受診を強く推奨
本ツールの限界と注意点
本ツールはあくまで自己評価のためのスクリーニングツールであり、医学的診断ではありません。以下の点にご注意ください。
- 更年期症状と類似した症状を呈する別の疾患(甲状腺機能異常、うつ病、自律神経失調症など)があります
- スコアが高い場合でも、別の原因がある可能性があります
- 逆にスコアが低くても、特定の症状が強い場合は専門医に相談することが大切です
- 治療方針(ホルモン補充療法、漢方薬、生活指導など)は、医師の診察に基づいて決定する必要があります
気になる症状が続く場合や、スコアが「医師への相談を検討したいライン」以上に達した場合は、女性は婦人科、男性は泌尿器科または男性更年期外来へのご相談をおすすめします。
セルフケアでできること
軽度〜中等度の症状の場合、生活習慣の見直しが症状緩和に有効であることが多くの研究で示されています。
- 運動: 中等度の有酸素運動(ウォーキング、サイクリングなど)を週150分以上。骨密度維持と気分改善に効果的
- 睡眠: 7時間程度の質の高い睡眠の確保。睡眠の問題は更年期症状を悪化させます
- 食事: 大豆イソフラボン、カルシウム、ビタミンDを含むバランスの取れた食事
- ストレス管理: ヨガ、瞑想、深呼吸などのリラクゼーション法
- 禁煙・節酒: 喫煙は症状を悪化させ、過度の飲酒はホットフラッシュを誘発します
- 社会的つながり: 同じ世代の人や家族と話すことで、孤立感が軽減します
よくある質問
Q. SMIとAMSのスコア基準が違うのはなぜ?
A. それぞれ別の研究グループが、男女それぞれの症状の特徴に合わせて開発した尺度のため、項目数も配点も異なります。SMIは項目ごとに重み付けが違う一方、AMSは全項目1〜5点の均等配点です。比較は同性別内のみで行ってください。
Q. 結果はどこかに保存されますか?
A. 本ツールはあなたの回答結果をサーバーに送信・保存していません。結果はブラウザ内でのみ計算され、ページを閉じると消えます。シェア機能を使った場合のみ、スコア値がURLパラメータに含まれます。
Q. 何度受けても大丈夫ですか?
A. はい、何度でも受けられます。症状の状態は時期により変動するため、月1回程度のセルフチェックや、治療開始前後の比較などにご活用ください。
Q. 男性更年期は本当にあるのですか?
A. はい、医学的に認められた状態です。日本泌尿器科学会と日本Men's Health医学会が「LOH症候群診療ガイドライン」を発行しており、ホルモン補充療法を含む治療体系が確立されています。女性の更年期と異なり、発症時期に個人差があり、症状が長期化する傾向があるため、早めの専門医相談が重要です。
参考文献
- 小山嵩夫 (1992). 更年期婦人における漢方治療:簡略化した更年期指数による評価. 産婦人科漢方研究のあゆみ, 9, 30-34.
- Heinemann, L. A. J., Saad, F., Heinemann, K., & Thai, D. M. (1999). The Aging Males' Symptoms (AMS) scale: assessment of health-related quality of life in aging men. Aging Male, 2, 105-114.
- 日本泌尿器科学会・日本Men's Health医学会 (2007/改訂版). 加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)診療の手引き.
- 日本産科婦人科学会・日本女性医学学会 (2017). 女性医学ガイドブック 更年期医療編 2019年度版.
- 厚生労働省 (2022). 更年期症状・障害に関する意識調査.